2013年5月12日日曜日

桶胴、締太鼓、締め上げ - 皮、縄、木、締め上げという日本の技術

チャリティーコンサートへ向けて稽古はしますけれども、稽古以外のことはなかなか外部に伝わりにくいところでもあります。コンサートの2、3ヶ月前となると、演奏以外にもさまざまな準備をすることになります。

インターネットという情報発信メディアが存在する今、その現状を伝えるのは、演奏する側も、演奏を楽しみたい側も、おもしろい取り組みでしょう。

エンターテイメントとは、演奏する側も、それを楽しむ側も、それぞれが楽しんで、常識を逸脱した最強に感動できる舞台になる、そういうものですね(・∀・)

そんなわけで、日々の稽古でどのようなことをしているのか、ちょっとご紹介したいと思います。

演奏する桶胴太鼓の締め上げです

太鼓には明快な音階はありませんが、締め上げの具合によって、高音、中音、低音、といったような区別はつけることができます。鼓遊は組太鼓を使う上に、セットの太鼓も使うので、音階を区別するようにそれぞれの太鼓の音階を締め上げによって変えて行きます。(厳密に音階を作ることもあります、舞台によっては。かなり大変ですが)


また、太鼓の面は汚れますので、水ぞうきんをぎゅっと絞ったものでから拭きをします。これだけでも汚れが落ちて、白い面が見えてきます。このあたりは塩梅が難しいところでもあるので、大人のメンバーが作業します(あまり水でごしごしやると、必要な油も飛んでしまいますので、汚れだけを取る必要があるからです)。


本日の稽古あとの締め上げでは、桶胴太鼓以外にも、稽古をかねて五丁がけの締太鼓の締め上げをおこないました。最終的には八丁がけの締め上げをできるようにするのが、締め上げ稽古の目標です。

五丁はそれほど音階は上がりませんけれども(あまり上げすぎると面が壊れてしまうからです、面というか、面をつないでいる紐が切れはじめてしまうので)、いいところまで音を上げます。慣れていないと手の皮が剥けますが、慣れてくると筋トレにもなりますし、自力で音階をチューニングできるよい作業になります。


和太鼓の楽器には、縄と締め上げの技術が入っているという特徴があります。締太鼓の締め上げまで実施する和太鼓演奏集団はそれほど多くないと思いますが、締め太鼓を締め上げる技術を持っているかどうかは、和太鼓演奏集団としては重要なポイントです。でなければ、締め太鼓を、目的の音階にそろえることができないからです。

縄は出発点から終わりのポイントまで全部つながっていますので、締め上げもスタートポイントからやればよいというものではなく、適切なやり方があります。このあたりは経験者から、体の動かし方も含めて教えてもらわないと、身に付かないところでもあります。

しかも、締め上げは一人でやるのは限界があり、よい締め上げを実施するには屈強な筋肉を持った人間が2人体制で望む必要があります(もちろん男女は問いません)。このあたりも、阿吽の呼吸を会得するポイントになっています。

明確な音階を持たない楽器を、音階を意識してチューニングする(締め上げ)ことで、自分の演奏する楽器が「音階楽器」の側面を持っている、ということを意識することにつながります。これが耳の成長を促し、曲の深みを増します。きつい作業ですが、これもまた「表現」につながる、大切な作業なんですね :)

ちなみに、締め上げはあまりにきついので「フンッ」「ウリャ」といった、リアルなかけ声が聞けたりします。あまりに縄が固いので、そうとう一気に踏ん張らないと、締め上げはできないんすね。

見ているだけで面白い作業ではありますので、興味がある方はぜひいちど、鼓遊の稽古におこしください〜